強迫観念

• 手や物が「汚れている」「感染する」という恐怖
• 「間違いを犯してしまったのではないか」という不安
• 家族や他人に害を与えてしまうのではないかという不安
• 火事や鍵閉めなど安全面の不安
• 「物事が正しく整っていない」と感じる違和感
• 宗教的・道徳的な考えに反するイメージや考えが浮かぶ

強迫行為（強迫観念を和らげるためにする行動）

清潔に関する行為

• 手を何度も長時間洗う
• シャワーを過剰に浴びる
• 家や物を何度も消毒する
• 外出先から帰宅後に衣服をすべて洗濯する

確認に関する行為

• ドアの鍵を何度も確認する
• ガスや電気が切れているかを繰り返し確認する
• 持ち物を何度もチェックする
• メールや文章を何度も読み返して確認する

数や順序に関する行為

• 特定の回数で物事を行わないと気が済まない（例：3回手を叩くなど）
• 部屋や物を特定の順序で整理整頓する
• 左右対称になるように配置する

繰り返し行う行為

• 家を出た後、再び戻って確認する
• 同じ質問を何度も尋ねる
• 特定の言葉やフレーズを繰り返す

強迫性障害の治療は薬物療法（抗うつ薬など）と認知行動療法（CBT）が有効です。「暴露反応妨害法（ERP）」で強迫行為を減らし、不安を克服していきます。治療には時間がかかることが多いですが、適切な治療を受ければ症状が改善します。

①薬物療法

脳内の不安や強迫観念を軽減するために、選択的セロトニン再取り込み阻害薬（SSRI）という抗うつ薬を使用します。SSRIはセロトニンという神経伝達物質を神経と神経の間で増やす働きがある薬です。
不安や衝動を抑える効果があり、心理療法と併用することでより高い効果が期待できます。
ただし、効果が出るまでに2週間程度かかることがあるため、焦らず続けることが大切です。

②心理療法・行動療法

心理療法では、「認知行動療法（CBT）」が効果的とされています。中でも「暴露反応妨害法（ERP）」は、不安を引き起こす状況にあえて直面し、その後の強迫行為を我慢する練習をする方法です。
たとえば、手が汚れていると感じても手を洗わずに一定時間我慢することで、不安が時間とともに和らぐことを学びます。少しずつ不安に慣れることで、症状の軽減を目指します。

強迫性障害は、不安を和らげるための強迫行為が習慣化しやすい病気です。日常生活での工夫や適切な対応を意識することで、症状の悪化を防ぎ、改善につなげることができます。

①すぐに治そうと無理しない

「考えてはいけない」「確認をやめよう」と無理をすると、かえって不安が強くなることがあります。少しずつ行動を変えることが大切です。

②不安が消えなくても焦らない

強迫行為をしないと不安が続くように感じますが、時間が経つと自然におさまることもあります。不安は一時的なものと捉え、耐える練習をしましょう。

③家族や周囲の人に協力を求める

家族が「大丈夫だよ」と何度も確認するのを手伝うと、症状が悪化することがあります。不安への対応を変えるように周囲の人にも理解してもらいましょう。

④ストレスを溜め込まない

ストレスが増えると、強迫行為が悪化しやすくなります。リラックスできる時間を作り、適度に運動をするなど、ストレス発散を心がけましょう。

⑤治療を焦らず継続する

強迫性障害は時間をかけて回復する病気です。薬物療法、心理療法、行動療法を継続し、少しずつ行動を変えていくことが大切です。

強迫性障害でお悩みの方は、お早めに専門の医療機関へ受診することをおすすめします。お薬に不安のある方でも、依存性が少ない薬、漢方など様々な治療の選択肢があるため、まずはお気軽にご相談ください。